事業するうえで欠かせない「経理」を毎日しなくてはならない理由とは?

事業の開始手続き

経理とは、事業活動をするうえで事業での収支や資金の流れを数字で把握するための一連の作業のことをいいます。(※ちなみに「経理」とは「経営管理」の略語です。)

 

現状の経営状況を正しく判断するため、決算書などで数字を見て状況を把握することは経営者にとって欠かせないものです。その意味ではかならず身につけておきたいスキルだといえます。

 

では具体的に経理とはどういったことをするものでしょうか?

 

経理の基本的な流れについて

経理の流れは、主に次のようにして進めていきます。

1.取引の発生

事業でモノやサービスを売ったり、原材料となる商品を買ったり、あるいは広告費などの費用を支払ったりすると、そこにお金の移動が発生します。これを「取引」といいます。

 

2.帳簿の作成(記帳)

こうしたお金の動きが発生すると「現金で商品を販売した」「掛けで商品を仕入れた」「広告用のチラシを現金で支払った」など一つずつの動きに分けて帳簿に記入します。これを「記帳」といいます。

 

3.決算処理

個人の場合は1月1日から12月31日まで、法人の場合は決算月までの1年間において、最終的にどれだけの利益または損失が出たかなどを集計して決算書にまとめます。

 

4.確定申告

決算処理で作成された資料(損益計算書、貸借対照表など)を元にして確定申告書を作成して税務署に提出します。

事業において経理をする目的とは?

このように経理は上記の流れで作業を行っていくのですが、非常に面倒くさい作業であるともいえます。でも経理は事業をするうえで欠かすことができないものです。では経理というのは具体的にどういった意味を持つのでしょうか?

 

 

たとえば家庭の場合だと、みなさんはかならず家計簿をつけると思いますが、これはどういった目的でしているのか考えてみるとわかると思います。

 

家計簿をつけることで、毎月の収入に対して支出が多すぎていないかどうか、しっかり貯金ができているかどうか、家賃や保険料などの割合は収入と照らして適正かどうか、などを数字で知ることによって家計をやりくりしていますね。これを会社(お店)の場合に置き換えたものが経理だということがいえると思います。

 

 

会社(お店)での事業に置き換えてみると、経理は大きく次の3つの目的があるといえます。

 

1.税金額を計算して納付するため

 

事業を行う上で個人事業、法人にかかわらずかならず「税金」を納める必要があります。これは国民の義務なので当然やらなくてはなりません。

 

これは、日常の事業から生じた売上、費用の計算を元に集計し、それをもとに納税額を算出することになります。

 

そこで日々記帳したものを決算書にまとめて確定申告書と一緒に税務署に提出する運びとなりますので、取引の記入漏れのないようにきちんとしたものを作らないといけません。

 

2.経営戦略のため

 

日々の業務をやっていると、今の自分の事業がどの位置にいるのか、というのはなかなか見えてきません。それを知るためには具体的に今の事業の状態がどういった感じなのかを数値化したものを作って調べる必要があります。

 

かりに売上ベースでは儲かっていたとしても、その分売上原価や経費がかさんでいた場合利益はあまり出ませんし、場合によっては赤字になることもあります

 

その意味でも、毎日の記帳によって出た数値を月末あるいは3か月おきに集計して分析することが大事だと言えます。これを「財務分析」といいます。

 

たとえば毎月の売上が落ちてきていないかどうか、売上原価が適正かどうか、人件費などの経費は使いすぎていないか、などを数字で確認し、悪いところはすぐに改善するようにして、事業が正しい方向に行くように修正していきます。

 

そのためには、日々の記帳をすることで現状の経営がどのようになっているのか正しくチェックしていく必要があるのです

 

3.資金調達のため

 

日々の事業をしていると、事業規模を拡大しようと思ったとき、たとえば工場を作ったり、機械などの設備を購入したりするときは、多額のお金が必要になる場合があります。

 

そのとき、会社(お店)に十分なお金がない場合は金融機関にお金を借りることになりますが、このときに金融機関から決算書の提出をかならず求められます。

 

それ以外にも、運転資金が足りなくなったときなど、事業を行っていくうえで金融機関からお金を借りなければならない機会がこの先も出てくるかと思います。そのときに備えて、経理を常にしっかり行っておくことが大切です。

 

 

 

つまり、経営者は会社(お店)を経営するうえで欠かせない「経営戦略」「税金対策」「資金調達」を、経理という作業を通じて行うことになります。そのため、その原点であるところの日々の記帳は欠かせない作業であることがお分かりいただけるかと思います。

経理を毎日することのメリットとは?

事業をやり始めて、だんだん日々の業務が忙しくなると、毎日記帳することをやめて、週末や月末あるいは確定申告の時期になってまとめてやるという方も多いかもしれません。

 

しかし、こうした作業はできる限りその日のうちにすることが大事です。なぜなら今の事業の現状をきちんと把握する必要があるからです。

 

たとえば日々帳簿をつけていると「このままいくと再来月末にはお金が底をつきそうだ」といったことがわかってきます。そこで早めに資金調達を行うなどの対策をすることで、その先のピンチを回避できます。そういう意味でも日々の記帳はとても大事だといえます。

 

そして毎日帳簿をつけていると、確定申告の時期になってあせって仕訳作業をすることがないため、余裕をもって確定申告をすることができます。面倒だから忙しいからといって記帳を後回しにせずにしっかりつけるようにしましょう。

まとめ

経営者が事業するうえで経理を通じて日々数字と向き合うことは、きちんとした経営を行うためにはとても大事だといえます。

 

とはいっても、やはり数字が苦手だという経営者の方は多いです。しかしできる経営者は間違いなく数字に強い方ばかりですし、これからの時代は数字に弱い経営者は生き残れないとも言われています。なのでまずは簿記3級あたりをとることからはじめてみてください。

 

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