事業をするときには決算書というものを作らないといけないと聞いたんですが、これってどういう意味があるのですか?
さて、前回の記事では、「簿記」の技術を習得しておけば、日々の記帳や決算書の作成などを通じて、お金に強い経営ができますよ!ということをお話ししました。
今回は、その簿記の技術を使って作成する「決算書」についてお話ししたいと思います。
決算書とは、その名の通り事業の決算のときに作成する書類のことを言うのですが、ではこの決算書はどういったもので、自分の事業でどういった役割を果たすものなのか、すぐに説明できますか?
決算書は、事業をするうえで本当に大事なものです。そこで決算書とはどういったものか、決算書の持つ役割とは、決算書はどんなときに使うのか、といったことを説明したいと思います^^
「決算書」とはいったい何か?
まず決算書とは、いったいどういった内容のものでしょうか?
決算書とは、事業の年度末にその年度の1年間の事業の成果をまとめて数字で書き記したもので「財務諸表」とも呼ばれたりします。
ちなみに事業期間は1年間で、個人事業は1月1日から12月31日までと決まっており、法人は自分で年度初めの月と年度終わりの月を自由に決めることができます。
この決算書の中身は、主に「損益計算書」と「貸借対照表」で構成されており、これらは複式簿記のルールで数字で書き表されることになっています。
つまり、決算書とは、世界共通のルールのもとで、その事業の内容が数字で客観的に示されるので、あなたの事業の中身が決算書を通じてまるわかりになるということなのですね^^
では、その決算書の大部分を構成する「損益計算書」と「貸借対照表」とはどういった内容のものをいうのでしょうか?
「損益計算書」は、その年の事業における「成績表」
損益計算書は、その事業年度の「収入」と「経費」を集計して、収入から経費を差し引いた「利益」の額を計算したものをいいます。
これを計算することで、単純にその事業年度における事業活動でうまく収益を出すことができたか、もしくは赤字なのかを数字で表すことができます。
つまり、損益計算書は、確定申告のときには、ここでの利益額を元に所得税が計算されることになります。
さらに損益計算書は、経費の中身を分けることで、どこの経費が多く使われていたかなどの経営分析をするときにも使われています。
その意味では、損益計算書は、その年の事業の「成績表」だといえると思います。
「貸借対照表」は、その年の事業における「健康診断表」
貸借対照表は「バランスシート」とも呼ばれ、左側に「資産」、右側に「総資本」(「負債(他人資本)」と「純資産(自己資本)」)の額を書くことで、両方の額が必ず一致するようになっている表のことをいいます。
この貸借対照表は、上下左右の割合を見ることで、今の事業の健康度合いがわかるようになっています。
たとえば、もしその事業で借入額が多くなると、右上の負債の欄が大きくなり、全体のバランスが悪くなってしまいます。
さらに借入額が多くなると、負債が資本の額を上回った状態になり左右のバランスが取れなくなってしまいます。
この状態のことを「債務超過」といい、こうなると一般的に金融機関からお金は借りられなくなります。
このように今の事業の健康状態を、貸借対照表を見ることですぐに読み解くことができてしまうことから、貸借対照表は、その事業における「健康診断表」だと言えると思います。
決算書は、事業のいろんな場面で必要になる大切な書類
このように決算書は事業がうまくいっているかどうかを見るための重要な書類であることはお分かりいただけたかと思います。
では、この決算書はどういった場面で必要になるのでしょうか?
確定申告をするとき
決算書は、個人でも法人でも、確定申告をする際には確定申告書とともに提出しなければならない書類の一つです。(ただし白色申告者は、一部書類のみで可。)
青色申告事業者の場合は、持続化給付金や一部給付金などの給付金を申請するときには、ここで作成した決算書を提出するように求められます。
財務分析をするとき
決算書の数字を読み解くことで、自分の事業の財務状況を分析して、次の対策を考えることができます。
そのためにはやはり「簿記」の技術がないとできないので、ぜひ簿記を習得してほしいと思います。
金融機関からお金を借りるとき
金融機関に融資を申し込むときには、決算書を必ず提出するように求められます。
そこで書かれている数字を元に金融機関は融資の可否や融資額、担保の有無など決定します。そのための判断材料として決算書は使われます。
取引先や株主・従業員に今の事業の状況を説明するとき
先ほどの金融機関だけでなく、今の事業の状況を説明しなければならない場面はたくさんあります。
たとえば、取引先へのプレゼンであったり、株主や従業員に対して今の事業の状況を説明する際にも、この決算書が用いられます。
決算書の作り方
以上のことから、事業を行ううえで決算書がとても重要なことはよくわかりました。
では具体的にどうすればこの決算書が作れるのでしょうか?それには主にこの2つの方法があります。
自分で会計ソフトを使って作成する
日々の取引を記帳する際に「会計ソフト」を使っている方が多いと思います。
その場合に青色申告も同時に行えるといったものであれば、申告の際に必要な決算書も同時に作ることができます。
この確定申告用に作成した決算書は、確定申告以外のときでも使える場合が多いです。
この場合は、基本的にはパソコンと会計ソフトさえあれば自分でも作れるものなので、非常に安く作ることができます。
ただし、作成に当たってはある程度の簿記の知識は必要になってきますし、ある程度時間がかかるといったデメリットもありますので注意が必要です。
税理士に頼んで作成してもらう
決算書に関して、プロに作成をお願いしたい場合は、基本的に税理士さんにお願いすることになると思います。
税理士さんが作る決算書であれば、やはりプロの手で作るものですから信頼感が違ってきます。
しかし自分で作成する場合に比べて、決算書作成の報酬が必要になってきますので、その場合はどのくらいまでなら出してもいいかといったところまで考えてお願いするのがよいかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?決算書のことはこれでだいたい理解していただきましたか?
実際に決算書を読めるようになるには、簿記を身に着けることはもちろん、ある程度いろんな会社の決算書を読んでおくことも大事かと思います。
そうすればあなたの事業の経営状態についても、数字で理解できるようになりますので、これにより深い経営分析ができて、具体的な対策もとれるようになり、結果的に事業の発展につながるようになると思います^^