「在庫」は持ちすぎても持たなくてもいけない、その理由とは?

事業経営の基礎知識

前回の記事では、使える経費や控除を有効に活用してしっかり節税をしましょうというお話をしました。

今回は個人事業をするうえで必要になってくる考え方についてお話をします。今回のテーマは「在庫」です。


みなさんはこれから個人事業としてやっていくにあたり、小売業や飲食業など、商品を仕入れて在庫を持ち、それを売ることで利益を上げるビジネスをすることがあるでしょう。

その場合「在庫の取り扱い」には注意が必要です。つまり在庫は「持ち過ぎても、少なすぎてもいけない」ということに注意する必要があるということです^^;


よく「在庫は罪庫」という言葉もあるように、在庫を持ちすぎることはそれなりにリスクがあり、その点では注意が必要ですが、逆に在庫を持たないこともリスクになることがあります。

そのためまずはビジネスにおける「在庫」の持つ意味についてしっかり理解しておきましょう。

そもそも在庫を持つとどういう影響を及ぼすのか?

まず小売業など、最初に商品を仕入れて、それに利益をつけて売る商売(在庫ビジネス)の場合、その「在庫管理」には気をつけないといけないといえます。

在庫を仕入れることは、在庫ビジネスをする上では、一定数の商品を仕入れていつでも売り出せる状態にしておかないといけないので、在庫はとても大切なものです。

しかし、その在庫数もあまり多く仕入れていてもいいというものではありません。あまりたくさんの数を仕入れてもいけないし、少なすぎてもいけないのです。

在庫ビジネスをするときに注意すべきこととは?

小売業などは、在庫の商品を売って、それを売ることで売上げが発生し、それを元手に次の商品を仕入れる、という形のビジネスですから、その意味では「回転」がとても大事なのはわかると思います。

しかし、この在庫が多すぎても少なすぎてもいけないとは、いったいどういうことでしょうか。

在庫が多すぎることで生じるリスクとは?

たとえば、その商品が売れ筋商品とかであれば、その商品をたくさん仕入れても回転数を保つことができますが、それができない商品の場合は「いつまでたっても売れない」という事態になる可能性があります。

そうなると、新しい商品を入荷するための資金が、古い在庫の商品を売りさばかない限りはいつまでたっても入ってこない、といったことになってしまいます。このことを「資金が寝ている」という表現をしたりします。

資金が寝ている状態だと、新しい商品を購入するタイミングを失ってしまうことになり、売れ筋の商品を購入していれば、それが売れることで得られる利益を逃していることになり、結果として機会損失してしまうといえるのです。


さらにいえば、それらの商品を倉庫などに保管しておく場合にしても、それにもコストがかかることは知っておく必要があります。

商品を保管するにしてもコストがかかるので、在庫を多く抱えている場合は、それだけ多くのコストが発生するということにもなるのです。

そのため、この在庫は持っていてもお金にならないと判断したのであれば、値引きなどをして早めに売ってしまうか、それでも売れないのであれば廃棄処分という形で、できるだけ在庫を少なくするといった対策が求められます

在庫が少なすぎることで発生するリスクとは?

逆に在庫を少なくしすぎてしまうと、今度は「その商品をすぐに買いたい!」という人のニーズにすぐに答えられないといった事態が生じることが考えられます。

こうした在庫不足の状態が続けば、いつも「入荷待ち」の張り紙を出さなくてはいけない状態になるので「あなたのお店はいつも入荷待ちだよね」といった評判が立ってしまって、お客さんはすぐにほかのところに行ってしまうことになりかねません。

こうしたことは大きな機会損失を生みかねないので、やはりすぐにお客様のニーズに対応できる程度の数量は仕入れておくなどの対策が求められます

在庫ビジネスで失敗しないためにはどうすればいいのか?

このように在庫ビジネスは、在庫を持ちすぎてもいけないし、少なすぎてもいけないというところにビジネスとしての難しさがあります。

そこで在庫ビジネスで失敗しないためには、まず自分が仕入れた商品の在庫がどのくらいの回転率で回っているのかをしっかり分析する必要があります。

こうした棚卸資産の効率を示す財務指標を「棚卸資産回転率」といい 「在庫回転率」とも呼ばれます。


棚卸資産回転率は、一定期間の効率の良さを示す指標として使われており、この回転率が高ければ高いほど、仕入から売上までのスパンが短いことになり、効率の良い経営ができている、といえます。

計算式は

棚卸資産回転率売上高÷棚卸資産

となります。 この式は、財務分析や在庫管理の際に用いられることが多いです。


たとえば、年間の売上高が2000万円としたとき、棚卸資産が200万円であれば、年間の棚卸資産回転率は10(回転)ということになります。

これを知っておけば、自分の事業の棚卸資産がどのくらいの回転数で回っているのかがわかるので、在庫ビジネスをしている方はぜひ知っておきたい計算式といえるでしょう。

こういった在庫リスクをなくすためには、まずその仕入れる商品について、どれだけの回転数がある(予測される)商品なのかを事前に確認しておく必要があります。そのうえで適正な在庫を仕入れる必要があるといえます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?こうした在庫ビジネスというのはいろんなところに注意を払う必要があるのはおわかりいただけたでしょうか?

今はネットビジネスのように在庫を持たないビジネスもあります。在庫をきっちりと管理することができればそんなに怖がる必要はないけれども、それが難しいという場合は、あまり在庫を持たないビジネスを考えるのも一考だといえます。

たとえば受注を受けてから発注をかけるといったのも一つのやり方になってきます。その分時間はかかることにはなりますが、そういったことも取り入れて柔軟に対応していく工夫も必要だと思います。

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