「財務分析」をするうえで必ず押さえておくべき3つのポイントとは

事業経営の基礎知識

よく実際の経営で、その事業がうまくいってるかどうかは日々の取引だけではなかなか判断がつかないことがあります。

そのため、この事業がうまくいっているのかどうか決算書の数字を見ることで分析をしなくてはなりません。このことを「財務分析」といいます。


これは小さな個人経営の事業でもトヨタみたいな大企業でも見るべきところはだいたい同じです。これを専門的な立場から経営者に助言したりする人たちのことを「財務コンサルタント」と言ったりします。

このように、決算書の数字から事業の状態を分析することは、経営者にとってなくてはならないスキルだと言えます。そこで今回は財務分析をしていくうえでの大事なポイント3つを紹介したいと思います。

でも、財務分析ってなんだかむずかしそう、と思われる方も多いと思いますが、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思いますので、ぜひ最後までおつきあいください^^

「財務分析」を行うことで得られるメリットとは?

まず財務分析については、多くの経営者が会社や事業の経営状態を見るうえで大事なスキルであることは間違いないのですが、そもそもなぜ財務分析をする必要があるのか、そのメリットについてお話ししたいと思います。

それについては大きく次の3つがメリットとして挙げられると思います。

いまの事業の状態が客観的に判断できるので、将来に向けて対策が立てやすい。

決算書は、世界共通のルールにのっとって数字で今の事業の状態を書き表したものです。

この決算書の数字を読み解くことができれば、今の経営状況を知るだけでなく、将来に向けての対策もできたりします。

たとえば、貸借対照表(B/S)の右側の資本の欄を見て、自己資本よりも他人資本(負債)の方が多いときは財務状況がよくないので、借入額を減らすか自己資本を増やすかといった対策をとることで改善することができます。

税金(節税)対策を立てるときに役立つ

決算書の利益が例年に比べて多い年は、節税をすることで、会社にお金をたくさん残すことができます。

たとえば小規模事業者が、将来の自身の退職金を積み立てておくための制度として「小規模企業共済」というものがあるのですが、利益が多かった年は、この小規模企業共済の掛金を、次の年の分も前払いすることで経費を増やす、といったことができます。

この掛金は、将来「退職金」となって手元に戻ってきますし、その年の経費が増えたことで利益が圧縮されて、結果その年は節税することができるというわけです。

このように利益が多い年をどのようにするかといった節税対策を練るうえでも、この財務分析が役立ちます。

金融機関からお金を借りるときに役立つ

金融機関にお金を融資してもらおうと考えるとき、この決算書はとくに大事になってきます

決算書は、その会社(事業)にとっての「成績表」なので、金融機関はこの決算書の数字を元にしてお金を貸すかどうかの判断をすることになります。

そして経営者は、この決算書に基づいて金融機関と交渉することになりますから、お金を借りた場合、その後の返済方法や返済期間などについてもストーリーを立てて臨むことでいい結果を得られる可能性が出てきます。

「財務分析」をするとき見ておくべき3つのポイント

このように財務分析をすることはいろんなメリットがあることがわかったところで、本題に入りたいと思います。

財務分析をするうえで、大切なことは次の3つのポイントをしっかり押さえることです。

なぜかというと、会社(事業)を長続きさせるためには、次の3つの要素が絶対に欠かせないからです。


その財務分析をするうえで大事なポイントとは「収益性」「安全性」「成長性」の3つです。いずれも成功している会社はこの3つのポイントをしっかり押さえてあります。

ではこの3つのポイントをひとつずつ見ていきましょう。

収益性

収益性は、損益計算書における「売上」と「利益」の比率、つまり「利益率」でいまの事業の収益性を判断します。

(出典:三井住友カード

この収益率には「粗利益率」「当期純利益率」などの種類がありますが、なかでも本業の収益性を示す「営業利益率」は特に大事な指標だと言えます。

「営業利益率」は、「営業利益÷売上高×100(%)」で表されます。

この収益性があることを表すための目安としては、製造業の場合は4~5%、非製造業の場合は3~4%くらいとされています。

安全性

安全性を見るときは、貸借対照表における「資産」「負債」「純資産(自己資本)」の3つのバランスを見ることが大事です。

(出典:マネーフォワードクラウド

たとえば「自己資本比率」(自己資本÷総資本×100(%))は、会社のすべての資産における自己資本の割合を表すものですが、これについては数字が高い方がより安全であるとされています。

成長性

成長性を見るときは、売上・利益・資産の3つがバランスよく伸びているかどうかで判断します。

これらのうちどれか一つでもよくないと、今後収益性が悪くなるおそれがあり成長性が見込めないと判断される場合もあります。

このようにざっくりではありますが、3つの指標についてはお分かりいただけたかと思います。

自分の事業についてこの3つの指標を基に財務分析をして改善していくことで、よりしっかりした経営基盤ができあがるようになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?このように財務分析ができるということは、いろんなところで役に立ちます。

自分の事業を分析できるだけでなく、ほかの事業を分析してお金をいただくというコンサルタントビジネスもできますし、事業だけでなく自分の家の家計にも応用することができます。

このように財務分析の基礎を学ぶことで、より一層事業が長続きすることができる財務体質にすることができますので、経営者の方は、ぜひそのスキルを磨いていってほしいと思います。

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