創業融資における「公庫融資」は誰でも申し込みできるの?クリアすべき3つのハードルとは。

創業融資をする

こんにちは行政書士で創業支援アドバイザーのセイケです。

さて前回は創業融資における日本政策金融公庫の「新創業融資制度」(以下「公庫融資」)において、融資限度額や資金使途、返済期間についてお話ししました。

今日は、そんな公庫融資を考えている方にとっては一番気になるのが誰でも申し込んでいいのか、という話をしたいと思います。

公庫融資では、日本公庫が政策金融である観点から、創業希望者であれば基本誰からの申し込みも受け付けていますが、そのためにはやはり要件などをクリアしなくてはいけません

誰からでもいいなんてことになれば、創業とは関係のない人でもお金目当てだけで申し込んでくるなんてことになりますから、そこできちんと線引きをするために「ハードル」を用意しておく必要があるのですね。

ではそのクリアすべき要件とはどういったものをいうのでしょうか?

その1~公庫融資における「申込者の要件」について

日本公庫では公庫融資に申込みをするにあたり申込者に3つの要件を設けています。次の3つの要件を満たしていない方は公庫融資に申し込むことはできません(一部例外を除く)。

1.創業の要件
2.雇用創出等の要件
3.自己資金の要件

このうち1.と3.については以前の記事ですでに説明しましたが、かいつまんで言うと「1.創業の要件」とは、「新たに事業を始める人」もしくは「事業開始後、税務申告を2期終えていない人」であること。

そして「3.自己資金の要件」とは「創業資金の10分の1以上の自己資金を確認できる人」であるということが規定されています。

では「2.雇用創出等の要件」とはいったいどういったものでしょうか?

具体的には、「雇用の創出を伴う事業を始める方」をはじめとする10項目について、いずれかひとつでも当てはまればよいとされていますが、多くの方にとっては次のような項目が当てはまりやすいと思います。

・「雇用を生む仕事である(→従業員を雇い入れる)」
・「新しいアイデアを伴った仕事である」
・「今勤めている会社と同じ業種の事業である(→ただし6年以上の勤務経験要)」
・「自分が大学などで修得した技能と密接に関連した職種の事業である
(→ただし2年以上の勤務経験要)」

これ以外の要件についてはかならず日本公庫のHPにてそれぞれご自身でどの要件に自分が当てはまるかを確認したうえで申し込むようにしてください。

その2~公庫融資における「対象除外業種」について

もしあなたが上記の3つの要件を満たしているからといってまだ安心はできません。次に確認してほしいのは「対象除外業種」についてです。

対象除外業種とは「あらかじめこの業種については融資は行いませんよ」ということを公庫側で規定しているものであり、これについては上記の要件をたとえ満たしていたとしても、その対象除外業種である時点で申込みはダメという厳しいものになっています。

ではその対象除外業種とは、どのように規定されているのでしょうか?融資の対象業種について公庫では、

金融業、一部の風俗営業業種、一部の遊興娯楽業等を除くすべての業種

というふうに書かれています。つまり基本的にどの業種であっても融資の申込みは可能ですが、金融業などの一部の業種では対象業種から除外されていて、この場合は申込みができませんということになっています。

もし法人として申し込んだときに会社の登記事項の事業目的が「金融業」もしくはそれに類似する事業内容であったときは、もしかしたら申込みができないという場合も考えられますので、融資を申込む際には事業内容がどうなっているのかを登記簿で確認してから申し込むようにしてください。

その3~申込書に規定している「個人の信用情報」について

公庫融資の借入申込書の裏面を見ますと、申込者の個人の信用情報について公庫側が事前に確認させてもらうことを申込者が同意することが申込みの条件であると明記されています。

つまりここで確認して申込者の信用情報にキズが付いていたとわかった場合、たとえばローンの滞納があったり、債務整理や自己破産といったことが過去にあったりすれば、この場合新規にお金が借りにくくなると言わざるを得ません

これについてはとくに公庫融資に限らず金融機関からお金を借りるとき全般に言えることですが、個人の信用情報にキズが付いている、要するにブラックリストにご自身が載っているような場合はやはりお金は借りにくくなります

したがって、もし自分にそうしたことに思い当たる節があるのであればまず信用情報機関に問い合わせて、自分の信用情報の中身を確認します。※信用情報機関の個人の信用情報は、ご自身で取り寄せることができます。

もし信用情報にキズが付いている場合はどうすればいい?

そしてもし「やむを得ない事情」で信用情報にキズが付いたのであれば、それは面談の際に自分の方から正直に話すようにしてください

向こうからどうしてキズがついているのかは信用情報機関との契約で聞くことができませんので、その場合は公庫が勝手に判断しますのでやはり審査に不利に働かざるを得ません。

自分の過去の金融事故について話すことは正直抵抗があるかと思います。でももし事情があってこうなったということを事前に知らせておくことで汲むべき事情があると判断してもらえば融資が受けられる可能性も出てきますので、まずは担当者に正直に話す方がいいかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?このように公庫融資を申し込むにあたり3つのハードルがあることをお話ししましたが、どのようにお感じになられたでしょうか?

やはり開業資金という大量のお金を融資してもらうのはいかに大変なのかがお分かりいただけたかと思います。そのためにはこうしたことがあるということを知ったうえで準備をしっかりとすることが大事だということだと思います。